1853年、ニューヨークに設立されたスタインウェイ・アンド・サンズは、高級ピアノの代名詞として多くのピアニストや愛好家に支持されています。スタインウェイは、それまで伝統的な職人芸に依存していたピアノ製造を音響学的な見地から見直して徹底的に改良を加えました。同社が取得した特許は120を超えますが、その中には、指の動きを正確に弦に伝える「アクション」や、ピアノ内部で音を共鳴させる「アイアンフレーム」など、現代ピアノでは常識となっている発明が多数含まれています。初期のピアノは、コンサートの最中に調律や弦の張替えを要するのが普通でした。しかし、スタインウェイによって、堅牢な構造で豊かな響きとすばらしい音色を持つ真の現代ピアノが完成したのです。
スタインウェイは、スプルース無垢材を使用した響板をはじめ、使用する木材にもこだわり抜いています。同社が所有する木材には、現在では入手困難なものも少なくありません。これらも、スタインウェイが誇る大きな財産です。